シモネッタ・ヴェスプッチ

Simonetta Vespucci (1474) by Sandro Botticelli

シモネッタ・カッタネオ・ヴェスプッチ （Simonetta Cattaneo Vespucci）はボッティチェッリやピエロ・ディ・コジモ、レオナルドが描いた美しき女性で有名だけれど、あの肖像画からみて、ちっとも評判の美女にみえない。

他に肖像画が見当たらないルクレーツィア・ランドリアーニの肖像画と比べれば、よく理解できるでしょう。この当時の美女の条件はブロンドの髪、そしてひろい額。 La Bellaという冠は「美しき」の意味。

彼女はその美しさで詩や絵画にインスピレーションを与えた女性。メディチ家のジュリーノとの不倫が題材になったわけ。

マルコ・ヴェスプッチ(Marco Vespucci 1453 – 1497)と16で結婚して6年後に亡くなったシモネッタは、ジュリアーノの兄ロレンツォにも愛された女性。

一説にはマルコ・ヴェスプッチがシモネッタより1年前に亡くなっているというものと、1497年に44歳で亡くなったという話しもある。
 

Simonetta Vespucci(1476-1480) by Sandro Botticelli

人妻だったと仮定すると、ジュリアーノのジョストラ（騎馬槍試合）は、友人でもあるマルコ・ヴェスプッチにどう思われる？

そうすると、このジョストラはマルコが亡くなって開催されたということだろうかー？いやいや、マルコは生きていた！

シモネッタが亡くなった後、コスタンツァ・カッポーニと再婚し、子どもにも恵まれたとありました。

さてこのジョストラ、真冬におこなわれたらしい。この試合に勝ったものはシモネッタの恋人になれるという勝利のご褒美。

この寒さがシモネッタの命とりになったよう。翌年の4月に亡くなった。
 

 La Bella　Simonetta Vespucci, by Sandro Botticelli

この死の病床に臥すシモネッタにひとかたならぬ思いを寄せたのがロレンツォ。花咲く4月に麗しい女性が逝ったという注釈を、ジョストラの一幅の絵に付したとあります。

シモネッタは気持ちも優しい人だったらしく、フィレンツェの人々も悲しんだという死は、ロレンツォに訃報を知らせたなかに「第ニの勝利」としたためてあったそう。

根占献一さんの本にそう書いてありました。

ボッテチェッリはなんで、シモネッタをその華やかな印象よりも、「死」というか暗い影を落としたように描いたんだろう。なんのことはなかったわ。死んだあとの作品。だからボッティチェッリのいくつかの作品には死んだ人間が描かれているから不思議な雰囲気があるわけだわ。

これはプリマヴェーラや東方三博士の次くらいに謎でしょう。

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ボッティチェッリは下記記事からリンクされてます、いろんな作品に。

サンドロ・ボッティチェリ　ヴィラ・レンミ
 

ボッティチェッリの春（プリマヴェーラ）に関していえば、完成する前にいろんな事件があって、最終的に結婚のお祝いになった可能性があるのは、花嫁の顔にすげ替えたからだと思う。

そしてもうひとつはジュリアーノの遺子となった誕生なんだけれど、この女性も謎を秘めているのではないでしょうかね。

どこの誰かということを伏せている気がする。

このジュリアーノの遺子、のちのクレメンス七世で、あのカトリーヌ・ド・メディチとアンリ2世の政略結婚を仕組んだ人物。

いろんな諸説があって、その諸説に基づいて「春」（プリマヴェーラ）を解釈するのは面白い。

楓やsai の記事から理解できるように、新プラトン主義の寓意なら、イデア（本質）を追求したほうがいいと思った。