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アントニオーニ 「夜」 (1961)
Michelangelo Antonioni( ミケランジェロ・アントニオーニ)
夜(ゲーム) /夜(ゲラルディニのパーティー) / 夜(リディア) / 夜(リディアとバレンチナ)
どう?
映画関連の著作本やアントニーオニのインタヴュー記事、映画のあらすじなんかを忘れても、なんとか鑑賞できるでしょう?
言葉がわからない映像だけのほうが、素直に映画を自分で受け止められると思う。正直、著作やインタヴューは一部削除されていたり、意訳だったりするもの。もちろんアントニーオニ自身が語ったことなんだけど、鑑賞者にとっても、それが全てじゃない。
自分の鑑賞の感覚だよね。この映画については、後半で。
ミケランジェロ・アントニオーニ ネオレアリズモのドキュメンタリー
「ポー川の人々」、「N.U. 都市の掃除」
アントニーオニといえば、内的ネオ・リアリズモと書かれている。
映画におけるネオレアリズモって、1955年頃までの作品で、イタリアの内戦による恐怖と破壊から現実問題から主題をとったものなんだけど、この「夜」を含めた三部作で、とくに「太陽はひとりぼっち」では、内的ネオ・リアリズモってアントニーオニの作品を位置づけてるんだよね。
頽廃主義ならわかるけど。これがまた、自ら名づけた「内的ネオリアリズモ」(内的ネオ・リアリスト)らしいんだ。
たしかに1943年の「ポー川の人々(Il documentario Gente del Po)」と1948年の「N.U. (Nettezza urbana)」(都市の清掃)」のドキュメンタリー映画は、ネオレアリズモ。
ちなみに「ポー川」は、2009年公開された「ポー川のひかり」と同じトリノ。17~18 世紀にサヴォイア家に支配されたトリノにあるポー川。その川沿いの住居(現在は禁止?)、川の氾濫と肥沃な穀倉地帯、そして現代はコカインの汚染。
「N.U.」は、ローマを掃除する人々を映しながら、ホームレス、世俗的な人々の生活が見える。普通の人々、ブルジョワジーの人々とは異界。でもね、正直に言うとちょっとアントニオーニ は、こういう人々との接点が見えないのよね。
リンク先から動画をみてもらったと思うけど、こんな映像を残しながら、ファシズムが終わってからの作品を「内的ネオリアリズモ」なんて言う所が、私が読み取れていないのか、なんだか違和感を感じるわけ。
よほど、「ネオレアリズモ」に執着しているらしいのね。対抗するファシズム(fascismo)は1945年には解体。ネオ・ファシズムは1980年にイタリアでは終焉しているのよね。
その残党に対する「内的ネオリアリズモ」かと思いきや、人間の心の内にある人間喪失、疎外状況などの「形而上的リアリティー」であり、ネオ・リアリズモを継承するために、それを内面化する必要があるんだって。
アントニオーニ 「夜」 La notte (1961)
あんまりふりまわされると、映画の鑑賞記事じゃなく、本の引用と本の紹介、インタヴュー記事になっちゃうから、私が感じたことを書くので悪しからず。
この映画なんだけど、作家ジョヴァンニが女性にもてる役どころ。三部作の「太陽はひとりぼっち」のアラン・ドロンは、特にそんな設定はないのよ。
トマゾのお見舞いのあと、リディアはひとり街をさまよい、裏町の男たちに淫らな視線を向けられるの。もう、長い間、性の欲望の目をみたことがなかったリディア。
家に戻ると、バスルームでタオルだ、なんだといって、ジョヴァンニに裸身をみせる機会をつくるのだけれど、ちっとも効果なし。その夜は二人でナイト・クラブ。ところが夫はダンサーに夢中。
どうみても、くたびれた中年というジョヴァンニ(マストロヤンニ)の風采。この映画では著名人の役どころでインテリ作家だから、もてるんだろうね。
この彼が、資産家ゲラルディニのパーティーでゲームに参加。見栄や虚栄心の俗物たちのパーティー。妻リディアはこのパーティーに馴染めない様子。
ジョヴァンニはバレンチナ(バレンチーナ)に夢中になるわけ。トマゾが死んで、今度はマストロヤンをめぐって妻リディアと令嬢バレンチナの新しい三角関係にすりかわる。
三角関係といっても、リディアとトマゾは不倫をしていたわけじゃない。マストロヤンニと結婚して何不自由なく暮らしていたリディアに、愛の不毛「倦怠」(得たいの知れない不安)がひろがったわけ。
トマゾがジョヴァンニよりもリディアを理解していること、そしてトマゾとリディアの遮断されていた愛は、彼の死で、リディアは思いを馳せるのです。
だから若い令嬢バレンチナとジョヴァンニの抱擁とキスをしているところを見かけても、リディアはそこで知り合った男とドライヴに。びしょ濡れで戻ってきたリディアに屋敷にきていたバレンチナはタオルで拭いてあげたり、お酒をつくったり。
「あなたがたと一緒にいると疲れるわ」といって、ジョバンニとリディアは二人になるの。リディアは美しい言葉のラヴ・レターをジョバンニに読むの。ジョバンニは誰が書いたと聞くんだけど、それはジョバンニがリディアに昔送った手紙。
「愛してないといって」というリディア。「いや、いうものか」というジョバンニ。
「愛しているといって」といえば、「いや、いうものか」とジョバンニは答えたのかな。(笑)
私の女を半世紀生きて、この「夜」を見直すと、古典なんかを思いだすのです。黒死病(ペスト)がイタリアを襲ったのは14世紀。
デカメロンやカンタベリ物語、エプタメロンをはじめ、艶話や恋愛の物語はたくさんある。そして、愛の不毛のようなセックスレスは、おわかりのように以前からあるもの。
彼は古典、男女の古い歴史を承知している。同じことが何度も繰り返されている。男女も政治も戦争も。
この物語で、作家のジョヴァンニが乗っているのはアルファ・ロメオ。イタリアのファシスト政権のムッソリーニの忘れ形見はアルファ・ロメオ・ スパイダー・コルサ。
わざわざ、ジョヴァンニに乗り回せたのは、「内的ネオリアリズモ」の印象を深くしようと思ったのかしらね・・・。
ドキュメンタリーフィルム L'amorosa menzogna
これはアントニオーニの「愛」のドキュメンタリーで、「愛の嘘」というタイトル。これ、面白いですよ。
愛の不毛三部作(実存三部作)
記事 映画 情事 L'AVVENTURA
記事 フェミニズムな映画 「太陽はひとりぼっち」 L'eclisse - The Eclipse(日蝕)
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